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dynamicDNSの使用

dynamicDNSの使用で、長らく使ってきたieserverが長期ダウンして代替えを探していたところ、フリーのDDNS NOWにたどり着いた備忘録です。リンクサイトを見ると詳しい説明があるが、表現されていない点をまとめたので参考にして下さい。

webカメラを遠隔で見るためのサーバー設定の記述がリンクサイトでは無いので、以下を参考にしてみて下さい。

サーバー設定 ddns.kuku.lu
ダイナミックDNS
サーバーURL

(入力例: http://xxx.xxx.xxx)

Diceの設定は

サービスは DDNSNow もしくは DDNSnu

ドメイン名は f5.si

Window10でPICTY760を使う方法

Windows10になって久しいが、たまたまレガシー級のPICTY760というプリンターをXP時代から延々とサブ機として使ってきた。さすがに10では無理かと諦め半分で、しつこくドライバーを検索してみました。

何と、見つかりましたので参考に記録しておきます。資源のムダ排除の一環で。経緯は省くが、検索語は hp deskjet 840c printer driver for windows 10

このなかで

HP DeskJet 840C/841C/842C/843C Drivers Download for …

Download the latest drivers for your HP DeskJet 840C/841C/842C/843C to keep your Computer up-to-date. … missing drivers; File Version: 8.5; File Size: 2.33M; Supported OS: Windows 10, Windows 8.1, Windows 7, Windows Vista, Windows …
というところをクリック、urlは
https://www.driverscape.com/download/hp-deskjet-840c-841c-842c-843c
です。
32ビットマシンなら3つめの、64ビットなら4つめのダウンロードをし、Zipファイルの展開でですトップ上にfbe772e6e5c39122a9c15701d4216e8bというなのファイルを置き、中のprnhp001.infファイルをプリンターの追加の際に読み込ませます。HPの一覧の中から
HP DeskJet 840C/841C/842C/843C を選択すればOK.

求人倍率上昇の裏側

寿命が大幅に伸び、有効求人倍率が1.61ポイントと為政者は胸を張っています。:(有効求人数を有効求職者数で除した率)

しかし、有効求人倍率を従業員規模別に大企業と中小零細で見ると大きな落差があり、大まかに言って図1のように20倍の差があります。

1.61ポイントはあくまで平均値であり、雇用環境の全体態様を示しているわけではありません。

これだけの落差は失業者数の総数から見ても高度成長時代にはありませんでした。

職を求める人は大手企業に入り難く、また中小零細企業に人手が集まらないのが現状です。

 

このような状況から見ると、社会の多様性と外国人の労働力に頼らざるを得ないという側面と、労働側と企業側のミスマッチは拡大している実態が見えます。

求職者の選別基準は高度化し、労働の価値観が多様化していることが招く社会の不健全度・格差拡大は、益々強まってくるでしょう。

職業選択の自由から、あるいは人員整理の対象から、その緩衝地帯を社会福祉に求める傾向も理解できないわけではありませんが、放っておくと、今は実感として解らなくとも、持続可能な社会が壊れます。

これからの社会では、若い人には小さくとも独立志向のマインドを持った自立が求められ、高齢者にはギリギリまで自立することを目指すことに尽きるのかと思います。

まだ可能!Windows 10 への無償アップグレード

Windows7, 8 の windows10 へのバージョンアップはした方が良いようです。またその期限が迫っています。暮れから正月休みに済ませたらいかがでしょうか。

一頃はWindous7からの画面変化で抵抗感もありましたが、結果的にはクラッシュも無く安定的に使えます。まだ無償でバージョンアップ出来ます。

まだ可能!Windows 10 への無償アップグレード方法【2019年版 …

 

人生100年時代への覚悟

今回の参議院選挙ではついに投票率が5割を切りました。

この中で無党派の投票行動が年齢階層で際立った違いを表している。無党派の投票行動をひとことで言うと、高齢者ほど立憲か共産を支持する傾向が見られ、自民は若い40、50代以下に支持が多い。

社民が高齢者の一部から支持されているものの、全般に極小化している。維新の全階層での支持の広がりには端倪すべからざるものがある。れいわは特定枠の二議席のみの獲得だが旧野党に無い風を捉えており、維新同様、ロスジェネの40台を中心に各層に広がりを見せている。これからの飛躍も刮目していくべきだろう。

画像は朝日新聞から
画像は朝日新聞から

今回の選挙では、現状や将来への経済的不安の意味合いが、若者層と高齢者層の間で分断傾向が広がってきているものと視ることもが出来るのではないか。

このような状況を打開していくための国民的合意として、少子超高齢社会に向かっているからこそ、65歳までの生産人口を「75歳まで生産年齢人口に引き上げ生産人口を1,500万人分引き上げる」、「後期高齢者も現行の75歳からいきなりでは無くとも85歳まで引き上げ、福祉の水準を見直す」などが現実の課題として考えていかなければならないのではないか。

高度成長時代は誰でも年功序列の恩恵に浴したが、今後の社会では競争社会が中心。日本的慣行の終身雇用を改めるとともに、様々な弊害・矛盾を糺していかなければならないだろう。チャレンジすることでの生きがいライフを社会のテーゼとし、不正・不適正な財政支出や生活保護世帯を減らし、本当の意味での1億総活躍社会にして行かなければならない。

そのためには、それぞれの年零階層にある市民が足元の地方自治での問題点の解決にもっと尽力すべきだろう。

選挙の度に大騒ぎして、選挙が終わったらあとはお任せでは、デモクラシーは地に着いたものにならない。

特に、暇も時間もある高齢者層は福祉の享受に安穏とするのでは無く、地域社会の不条理・財政節約に目を向け、主体的な行動が求められてきているのだと思う。今世紀の早い時点で、、医療の進歩によって、がんで死亡することは無くなるとも言われている。そんな時代に向かっている中で、政治から目を背けて生きていくのはつらくは無いでしょうか。

このほか、、『NHKから国民を守る党』はなぜ議席を得たのか?には、今後の動きに注意が必要だろう。 痴呆化した地方自治の立て直しには、旧来の手法では無く、想定外の手法が効果することもある1例では無いだろうか。

 

一人あたりGDPに見る生産性凋落

 

2023年最新(国連統計上は2021年)
一人あたりのGDPランキング
順位 国名 単位(US$)
1位 ルクセンブルク 132,370
2位 アイルランド 114,580
3位 ノルウェー 101,100
4位 スイス 98,770
5位 シンガポール 91,100
6位 カタール 83,890
7位 アメリカ 80,030
8位 アイスランド 75,180
9位 デンマーク 68,830
10位 オーストラリア 64,960
11位 オランダ 61,100
12位 オーストリア 56,800
13位 イスラエル 55,540
14位 スウェーデン 55,400
15位 フィンランド 54,350
16位 ベルギー 53,380
17位 サンマリノ 52,950
18位 カナダ 52,720
19位 香港 52,430
20位 ドイツ 51,380
21位 マカオ 50,570
22位 アラブ首長国連邦 49,450
23位 ニュージーランド 48,830
24位 イギリス 46,370
25位 フランス 44,410
26位 アンドラ 44,390
27位 プエルトリコ 38,570
28位 マルタ 36,990
29位 イタリア 36,810
30位 バハマ 35,460
31位 日本 35,390

世界の一人あたりGDP は捉えた時点での変動が大きく様々な分析が出ています。そこで、充分な経年期間を丁寧に分析してみると、ある明確な傾向が見えてきます。

1989年平成1年には日本はアメリカを抜いて先進国で1番でした。その後に曲折はありますが1995年(地下鉄サリン事件、円高で1ドル70円台などとなった年です)にピークの43,118ドルをつけて以降、足踏み状態が続いています。

現在はG20国の中でも最下位に等しく、G7の中でもイタリアの後塵を拝しています。左表をご覧下さい。現状は1995年平成7年の43,118ドルに届いていない。よく見ていただくと解りますが、日本は先進国の中で貧しい方向に確実に向かっています。グラフは国連統計(National Accounts – Analysis of Main Aggregates (AMA)) をもとに作成したもの。

GDPは、技術革新と労働人口に影響されます。2012年までは円高に支えられて2番ピークの48,302ドルをつけますが、それ以降、政権が代わっても、足踏み状態が続いています。対するアメリカには大きく水を開けられています。アベノミクスは失敗と一概に決めつけることは出来ませんが、ゼロないしマイナス金利政策下では諸手を挙げて成長の果実が得られているということにはなりません。東京オリンピックまでは、だましの成長を喧伝するでしょうが、その反動は消費税のUP も重なり大きなものとなるでしょう。その危険を回避するためには、政策変更の軌道修正が必要となるでしょう。

いま政治で大切なことは、生活の基盤から持続的な国民経済はどうあるべきかを党派を超えて議論することではないでしょうか。あらゆる面で社会制度は’金属疲労’しています。地域社会に生きる市民は、地域の問題に関心と監視を強め、頓挫した2大政党制を埋めるための努力が必要です。1強多弱は栄枯衰勢のたとえのようにすぐに壊れます。アンチテーゼとしてMMT新経済政策を唱える人もおりますが、ただでさえ問題の借金経済を雪だるま化させるだけです。超高齢化時代の経済は入りを計って出ずるを図ることが原則で、老人層も頭を鍛え技術革新を目指すことではないでしょうか。

そのための一つのキーワードは、憲法における地方自治の拡充、加えて2元代表制の見直しに伴いシニアパワーの活躍・活動を促進することでしょう。これらの動きは、地域政党化が進み、新しい2大政党の1翼へと発展しうる可能性を秘めています。国民の半数が不満とあきらめを抱えた現状打破には、国民主権を実感できる地方経済・地方組織の活性化がまず必要ということになるのではないでしょうか。

年金の将来を考える

参議院選挙の争点の中に年金問題がありますが、国民ががあらためて生存のための労働の価値・意味を理解する良い機会ということではないかと思います。年金受給者は既得権として考えるだけでなく、何らかの形(就労を含む経済活動に参加することも含め)で付加価値の創造に積極的に参画することが不可欠となった時代に直面しています。そこで、現在の老齢年金が残高の状況を含めてどのような状況にあるのかを整理してみました。

老齢年金残高の推移

低成長経済下、年金の保険料収入が生産労働人口の減少に伴い減っています。年金額を現役時代の賃金の60%台を確保する為に、保険料を上げればよいというやり方では年金行政を維持できないことは火を見るまでもなく明らかです。このため現在は、あらかじめ保険料収入の上限を見通した上で、年金額を確保するという方式に変わってきています。

つまり高度成長時代の給付水準60%台のままというわけではなく、物価や賃金が上がっても、年金はそれよりも上げ幅を下げ(現役世代の賃金の上げ幅と年金額の上げ幅の差を広げ)、年金額の割合は長期的に50%に近づけるというマクロ経済スライド調整が今は導入されています。

マクロ経済スライド調整というのは、少子高齢化による年金受給者の増加で生じた年金給付の負担増と、被保険者の減少による負担能力の減少を考慮の上で、年金額を自動的に調整するものです。しかし、年金受給者の受け取る割合がいきなり50%にまで直線的に下がっていくというものではありません。(経済成長が止まれば、限りなくそれに近づくでしょうから、100年安心というわけでもありません)

現状では、例えば左図ならびに下表のように物価が1%上がって、賃金が0.6%上がった時に、マクロ経済スライド調整が0.5%なら、賃金の0.6%から0.5%下げて0.1%の年金の伸びにするというものです(名目上は下がりませんが実質では下がります)。賃金幅にできないのは負担者が人口減少で減るためです。

物価変動率 2018年の物価変動率 1.0%
名目手取り賃金変動率 2018年の物価変動率1.01 X 実質賃金変動率(2015~2017年度の平均)0.998 X 2016年度の可処分所得割合変化率0.998 0.6%
スライド調整率 公的年金被保険者数の変動率(2015~2017年度の平均)1.001 X 平均余命の伸びを勘案した一定率0.997 ▲0.2%
未調整分のスライド調整率 2018年度分の繰り越し ▲0.3%
年金改定率 0.1%

ところで最初の老齢年金残高の推移画像を拡大してみて下さい。年金残高は簿価ベースですが、平成1年73兆円→平成11年144兆円から→平成29年119兆円(時価ベースでは161兆円)と変遷しています。GPIF年金機構が保有する株式を売れば、時価ベースで伸びているという理屈もありますが、実際には売ることはそう簡単ではありません。

経済が堅調であれば良いですが、インフレターゲットをなかなか達成できない経済与件が山積している中、国民の貯蓄性向が極端に高い我が国では、投資性向が高まらない限り、株価の上昇は望めず(平成の初め頃の東証における1日の取引株数は20億株を超えていましたが、現状はその半分にもなっています)、経済成長は、国民参加で図る必要があり、地方の政治を含めた民力を高める試みが大切ではないだろうか。75歳を後期高齢者とする定義なども、この30年で平均寿命が10歳は延びていることからも85歳に変更していくことも必要ではないだろうか。

例の老後の資金2000万円は、個々人の問題で差ほど気にする事ではありませんが、不労所得の議員や、行政の無駄使いに目を向け、福祉に回すことに目を向けていくことの方が大切かと思います。またマクロ経済スライド方式は年金支給の公平感に十分に手をつけてはおらず、高額受給者に対しての減額方式の見直しなども考えて良いのではないだろうか。

2019年現在の年金支給月額の最新情報は、国民年金支給額の平均が55,464円、厚生年金支給額の平均が147,927円となっています。合計20万円です。

マクロ経済スライドはよく練られたスキームと思いますが、所得代替率をきめ細かく運用するという視点も大切と思います。

公的年金の給付水準は所得代替率という考えに基づき算出されます。所得代替率とは左図のように、給付開始時点の年金額を、現役世代の平均手取り収入額(賞与込み)に対する割合で示したものです。現状ではその値が平均値で約60%です(所得の高い人は約50%で止まっています。)。

一般に高所得世帯は個人年金や貯蓄などで老後に備えることができますが、所得の低い世帯は十分な老後の備えをすることが困難です。そのため公的年金では、世帯構成や現役時代の所得の違いを考慮した運用が一応は行なわれています。
高額受給者の所得代替率は一定の水準以上では下限を外し、低所得者の原資にまわすなどの考えがあっても良いのではないだろうか。

認知症

3回にわたる認知症記事です。共助社会の自覚を持つためにも、共助の元である市民の連帯、平たくいえば党派を超えた公共の組織作りを市民側から創り上げるということではないだろうか。


問われる「認知症先進国」の知恵 介護、近づく限界点
認知症と生きる(上) 2019/7/9 1:30 情報元 日本経済新聞 電子版

男性の妻(中)は認知症となり、目を離すとすぐに家からいなくなってしまう(東京都府中市)

認知症対策を強化する政府の新しい大綱が決まった。「誰もがなりうる」として「共生」に加え、初めて「予防」も目標に掲げた。長寿社会を実現した結果、認知症の有病率が世界で最も高い”先進国”となった日本。認知症と生きる知恵の模索が続いている。

「戻ってこねえな……」。6月下旬、東京都府中市の自営業の男性(87)は自宅の縁側に腰掛けて庭先にある門を見つめ、ため息を深くついた。1時間ほど前に家を出た認知症の妻(82)は夕暮れが迫るなか、行方が分からないからだ。

妻が昼夜を問わず、さまよい始めたのは5年前。約20キロ離れた川崎市内で見つかったこともある。1年半前に認知症と診断され、特別養護老人ホームの入所を申し込んだが断られ続けている。対処しきれなくなった男性は妻の帰りを待つだけの日々を過ごす。

経済協力開発機構(OECD)の比較では認知症の有病率(2017年)は日本が2.33%で最も高い。警察庁によると、認知症で行方不明後に死亡が確認された人は18年までの5年間で3割増え508人。介護・看病疲れで起きた殺人事件は31件、自殺した介護者は230人に上る。

「家族介護から社会的介護へ」を掲げ、2000年に導入した介護保険は当初3兆6千億円だった給付費が17年度には約10兆円と2倍以上に増加。介護サービスは拡充したものの、制度の網から漏れる人は多い。

「家族のケア」という見えない費用を加えた認知症の社会的コストは30年には21兆円を超え、15年から1.4倍に増える――。慶応大学の研究者らの試算がきっかけの一つとなり、政府は6月、認知症の人が暮らしやすい社会をつくる「共生」に加え、認知症を減らすため「予防」を初めて対策の柱の一つに据えた新大綱を決定した。

30ページを超える新大綱に盛り込まれた対策は膨大だが、実現が容易でないものも多い。その一つが「介護人材を25年度に245万人確保する」だ。

重度の認知症の人などを受け入れる特養はベッドがあっても人手が足らず入所できないケースもある。独立行政法人の福祉医療機構(東京・港)の17年調査では利用率が9割を下回る施設が3割弱あった。政府は特養などの受け皿を広げるため16年度から55万人増やすことを盛り込んだ。

だが北関東の施設で働く介護職員の女性(45)は「高い志を持つ若い職員は仕事量や低い賃金などで次々と現場を去っている」と嘆き、「絵に描いた餅にすぎないのでは」と懸念する。

認知症の高齢者が保有する資産も膨らむ。第一生命経済研究所は30年度に215兆円になると試算。一方で親族や弁護士が財産を管理する成年後見制度の利用者は18年末で21万8千人で低迷している。新大綱では利用を促す中核機関を全市区町村に新設する方針だ。

65歳以上の認知症は推計517万人(15年)。日本だけでなく、アジアを中心に急増する見込みだ。先駆けて対策を迫られる日本が、認知症の人の家族任せにせず、社会としてどう向き合うのか。各国共通の課題が突きつけられている。


認知症予防は「夢のまた夢」? 発症リスク診断に活路
認知症と生きる(中) 2019/7/10 1:30 情報元 日本経済新聞 電子版

「ご期待に沿えず申し訳ない」。エーザイの内藤晴夫社長は5月、決算発表の場で、期待されていたアルツハイマー型認知症薬の開発中止について陳謝した。中止を発表した3月には失望感が広がり、株価は3割下がった。「次世代の薬を何としても世に出したい」。内藤社長は新たな治療薬の開発に力を入れる。

エーザイは認知症の新たな治療薬の開発に力を入れる

アルツハイマー病の原因は各国の研究者が心血を注ぐが、いまだに分かっていない。全体の6割程度とみられているアルツハイマー型の治療薬は、原因と推定されているたんぱく質が脳内に”ゴミ”として蓄積しないようにして発症や進行を防ぐことを狙う。

だが米製薬企業バイオジェンは「原因となるゴミの種類はたくさんあった」として、1つの物質の蓄積を防ぐだけでは効果がないとみる。2000年以降、製薬会社約30社は治療薬の開発に6千億ドル(約65兆円)以上投じてきたが、予防に結びついていない。

日本では認知症薬として承認されている薬も、フランスは費用対効果の観点から公的保険の対象外とするなど、アルツハイマー型認知症の予防や治療効果に疑問が投げかけられている。

政府は5月、認知症対策の新大綱の素案段階で「70代で認知症の人の割合を10年間で1割減らす」という数値目標を掲げた。だが「予防法は確立していない」「発症した人が責められる」など懸念が噴出したため、6月に決定した大綱では「参考値」にとどめた。

予防は夢のまた夢なのか。期待が寄せられているのは「防げるはずの認知症を防ぐ」取り組みだ。

17年に英医学誌ランセットに掲載された研究では、複数の論文を統計的な手法で解析。遺伝的な要因は7%にすぎず「認知症の35%は予防できる」と指摘し、話題を呼んだ。

英研究チームによると、最大の要因は聴力低下で、耳が遠くなると9~17年後に認知症になる傾向があった。中等教育(12~14歳)の未修了者もリスクが高く、研究チームは「教育を受けることで認知機能が高まると同時に健康に気を配るようになる」と説明する。

「脳を鍛える大人の計算ドリル」で「脳トレ」ブームを起こした東北大加齢医学研究所の川島隆太所長は「認知症の予防は方向として可能なはず」とみる。

5月中旬、世界保健機関(WHO)が初めて作成した認知症予防ガイドラインでも認知機能の低下や認知症のリスクを低下するため「運動」と「禁煙」を「強く推奨する」とした。

予防の効果を科学的に証明するためには時間を要する。WHOも運動と禁煙のエビデンス(根拠)の質については「低い」と評価しており、今後の長期的な研究が不可欠となる。

注目されているのが早期診断だ。国立がん研究センターと国立長寿医療研究センターは、血液でがんの早期発見を目指して「マイクロRNA」を測る手法がアルツハイマー型、脳血管性などほとんどの認知症の発症を予測できることをみつけたという。

早期から対応できれば、生活習慣病が原因となる「防げるはずの認知症を防ぐ」ことも現実味を帯びる。


当事者参加で「共生」実現 自助・公助に限界
認知症と生きる(下) 2019/7/11 1:30 情報元 日本経済新聞 電子版

「認知症の人がここまでできるのか」。鹿児島県姶良市の介護事業所「共生ホームよかあんべ」には、地域住民からこんな声が届くようになった。施設を利用する認知症の人が、ヤマト運輸から業務委託を受けた荷物を配達する取り組みを1月から始めた成果だ。
認知症の人がメール便を配達し、地域住民とつながる取り組みも始まっている(鹿児島県姶良市)

認知症の人がメール便を配達し、地域住民とつながる取り組みも始まっている(鹿児島県姶良市)

配達するのはメール便で1日10件程度、近くの住民宅を回る。施設は受け取った委託費を配達した人に支払う。月2千~3千円になる給与で散髪に出かける人もいる。

メール便は手渡しで、あいさつも交わす。取り組みを提案した施設の代表、黒岩尚文さん(50)は「利用者は人の役に立ち、対価ももらえ、満足感が強い。日ごろからつながりがあれば、いざというときに声もかけやすい」という。

認知症が進んでも、人間らしさを尊重することが欠かせない。

福岡市が世界で初めて自治体として普及策を取り入れた認知症のケア技法「ユマニチュード」。考案したフランスの体育学の専門家、イブ・ジネストさん(65)は「たとえ認知能力が低下しても感情は残る」と指摘する。

ユマニチュードには、認知機能が低下している人には顔と顔を近づけてゆっくり話すなど、人間として重要な「見る」「話す」「触れる」「立つ」の4つを柱とする基本技術がある。実践した施設では、寝たきりの高齢者が立ち上がるなど効果が出ている。

フランスでは400超の施設が導入。ドイツ、カナダなどに次ぎ、2014年に日本に6番目の国際支部ができた。福岡市は一般市民も対象に技法を紹介する講座を開催。認知症の人と接することが多い市の福祉関係の窓口職員や救急隊にも広めている。

当事者らでつくる一般社団法人「日本認知症本人ワーキンググループ」は昨秋、「認知症とともに生きる希望宣言」を発表した。6月に政府が決定した認知症対策の新大綱に「本人からの発信支援」として明記されるきっかけになった。

同グループが同月下旬に都内で開いたイベントには約160人が参加、約30人は当事者だ。代表理事で鳥取市在住の藤田和子さん(57)は45歳のとき、若年性アルツハイマー病と診断された。「症状は進むと思うけれど、希望のリレーをつなぎたい」と訴えた。

イベントでは、認知症の人が地域社会の一員として参画している具体的な例として、和歌山県御坊市の「認知症の人とともに築く総活躍のまち条例」が紹介された。条例では市、当事者、関係機関だけでなく、市民のほか、企業や商店など事業者の役割を盛り込み、地域ぐるみで取り組むことをうたった。

厚生労働省研究班の推計では、認知症の人は30年には744万人、50年には797万人と65歳以上の5人に1人を超える。本人、家族、住民を含めると、誰もが向き合う認知症。社会的コストが急増する中、国や自治体の「公助」や、本人と家族の「自助」には限界がある。支える人、支えられる人の枠を超え、地域で知恵を出し合う「共助」社会が求められている。

前村聡、寺岡篤志、石原潤、川名如広、草塩拓郎、奥田宏二が担当しました。

投票力vs集客力

面白い分析です。自民は本当に強いのか 楽観できない「投票力」
論説フェロー 芹川洋一  2019/6/17付日経

の記事のとおりと思うが、自民と比肩しうる政党がない構図は変わらない。国民の半数を占める支持無し層をすくい取る視点からの政党の不在が政治の進化を阻んでいる。投票力は進化の決め手にはならず、護憲も原発も2項対立として不十分ならば、自由・民主に代わる新しい軸は何になるだろうか。

選挙を立憲民主で戦い当選した後に、訳の分からない野合会派名で議会に臨むご都合主義の議員を生む風土にも問題がある。無関心層を含めた再編は必須でしょう。


衆参同日選はどうやら、ないらしい。19日には党首討論が設定されている。野党は安倍晋三内閣の不信任決議案の提出を準備している。なお波乱の芽がないわけではないが、会期どおり26日に国会が閉幕し、参院選単独の戦いとなるのだろう。

12年に一度、統一地方選と重なり自民党には鬼門の「亥(い)年」の参院選だが、衆院選をぶっつけなくても勝てると判断したようだ。たしかに世論調査をみる限り、安倍自民党は盤石だ。内閣支持率は50%を超え、政党支持率も40%を上回る。野党の弱体ぶりは、いうまでもない。

今回は勝ちすぎた2013年の参院選の改選だから、自民党はそのときの65議席は下回っても、16年選挙の56議席ぐらいは確保するだろうとの見方がもっぱらだ。

自民党として敗北をきっすることはないと踏んでいるに違いない。

そうした選挙予測に、異を唱えようというわけではないが、世論調査と選挙結果の間には、過去の経験からどうも微妙なずれがある。

そんな思いでいたとき、外務省の鈴木量博北米局長に話を聞く機会があった。

外務省は16年の米大統領選挙でそれを痛感した。事前の世論調査では決して優位ではなかったのにトランプ大統領が誕生したからだ。

そこでどうしたか。鈴木局長によると、在米大使館の議会班がさまざまなデータをもとに、投票結果を左右した要因を分析した。その結果、新たな指標を考え出した。

人種別(白人・黒人・ヒスパニック・アジア系)、年齢別(4分類)の有権者人口の割合と、それぞれの投票率をかけ合わせる。

そこから、どれだけの人が実際に投票したかの数字がはじき出せる。ある層を基準として比較すると、どの程度、人口の割合と投票率が投票に影響をおよぼしたかが見えてくる。それを「相対的投票力」と名づけた。

18年の下院選挙では、人種別でヒスパニックを1とすれば黒人は1.3、アジア系は0.38で、白人は何と7.59にのぼる。白人のパワーが桁違いに強いことがわかる。

年齢別は18~29歳を1として、ウエートがいちばん高いのは45~64歳の2.72。次が65歳以上の1.96、そのあと30~44歳が1.57だ。

中高齢の白人にアピールする訴えをしないことには当選がおぼつかないことが、はっきりと数字からみえてくる。

鈴木局長は「16年の大統領選挙でトランプ選対は、白人の強い投票力をしっかり考えて行動に移した。だから世論調査とは違う結果が出た」と分析している。

ひるがえって日本はどうか。相対的投票力の手法を借用し、その応用編を考えてみた。日本の場合、人種別はないので年齢別だけだ。

年代別有権者は、総務省の国勢調査による推計人口で17年現在の数。投票率は、総務省の外郭団体である「明るい選挙推進協会」が調べた16年参院選の年代別のデータだ。

調査時点にずれがあるが、傾向を調べたものと理解してもらいたい。18~19歳の部分が欠落しているのは適当なデータがないためで、お許しいただきたい。

年代別の有権者構成比と投票率をかけ合わせ、それを「投票力指数」とする。それをもとに相対的投票力を計算してみる。

20代を1とすると、30代は1.5だが、40代と50代は2.2になり、60代は2.8、70代以上は3.5と投票力は圧倒的だ。

高齢になるほど有権者数が多いうえに投票率も高いからおのずとそうした結果になってしまう。投票率は20代が35%なのに対し、60代は70%と倍だ。シニア層の政治的な影響力が大きくなるシルバー民主主義がいわれるゆえんだ。

実際の選挙は、有権者がどこに票を投じるかによって決まる。そこで用いたのが日本経済新聞社が19年5月に実施した世論調査の「投票をしたい政党」のデータである。

与党(自公)と野党(それ以外)で、それぞれの回答率の和に年代別の投票力指数をかけあわせ「実効的投票力」をはじきだしてみた。

20代は与党が2.1で、野党の0.8を圧倒する。50代までは与党に野党の倍以上の投票力がある。ところが60代は与党5.2、野党4.4と肉薄し、70歳以上も与党6.1、野党4.5とけっこう近づいてくる。

60代では「まだ決めていない」との回答者が15%いる。この層の内閣不支持の割合は支持を大きく上回る。もし不支持者が野党に投票すれば与野党はほぼ並ぶ。シニア層の実効的投票力をみる限り野党は決してあなどれない。

安倍首相は周辺に「この人たちを変えるのはむずかしい。人生の不満が政権に向いている。むしろ未来があって支持の高い若い人たちのボリュームをあげていきたい」と漏らしているらしい。

自民党の選挙対策はいかにして若い人に選挙に行ってもらうかだ。

逆もある。その昔「無党派は寝ていてほしい」と、非自民が多い無党派層は投票に出てこないでと本当のことを言って批判を浴びた首相がいた。それにならえば今は「老人は寝ていてほしい」ということになるのだろうか。

ところがどっこい、団塊の世代を中心にアクティブ・シニアの何と多いことか。自民党はたかをくくっていると痛い目にあう。

日本の競争力は世界30位

ロスジェネと高齢者増の問題にもかかわるが、今のまま放置して’高齢者’対策を疎かにしておっては、生産性の向上は図れない。若者のチャレンジ精神も育たない。働き方改革の本領は働かない’高齢者’を活用し生産性を上げることだ。75歳後期高齢者はおかしい。

【ジュネーブ=細川倫太郎】スイスの有力ビジネススクールIMDは28日、2019年の世界競争力ランキングを発表した。日本の総合順位は30位と前年より5つ順位を下げ、比較可能な1997年以降では過去最低となった。企業の生産性の低さや経済成長の鈍化などが理由で、アジアの中での地盤沈下も鮮明になっている。

調査対象は63カ国・地域。1位はシンガポールで、先進的な技術インフラやビジネス環境が高く評価された。一方、前年に1位だった米国は3位に転落。IMDは燃料価格の上昇やハイテク輸出の減少が米経済に打撃を与えていると指摘したほか、トランプ大統領の税制改革の効果にも懐疑的な見方を示した。

日本は判断基準となる項目別で、「ビジネスの効率性」が46位と低く、ビッグデータの活用や分析、国際経験、起業家精神は最下位と厳しい。IMDは企業の生産効率の向上に向け、働き方改革や人材開発を一層進める必要があると指摘した。「政府の効率性」も38位で、巨額の政府債務や法人税率の高さなどが重しになっている。

一方で、日本は環境技術やモバイルブロードバンドの普及、平均寿命などの評価は高い。

アジアではインドネシアの勢いが目立つ。総合順位は43位から32位に急浮上し、日本を猛追している。首都ジャカルタでは今春、同国初の地下鉄が開業するなど、インフラやビジネス環境の改善が寄与した。欧州では、欧州連合(EU)離脱に揺れる英国は23位と3つ順位を落とした。IMDは欧州の競争力は景気減速の影響で厳しくなっていると指摘した。

競争力ランキングは1989年から公表している。4つの項目を基準に、235の経済指標などを使い分析している。

競争力ランキング1位のシンガポールは技術インフラやビジネス環境が評価された=ロイター
競争力ランキング1位のシンガポールは技術インフラやビジネス環境が評価された=ロイター