DXということばがよく聞かれるようになった。これは。簡単に言うと人間のトランスヒューマニゼーション、つまり、新しい科学技術を用い、人間の身体と認知能力を進化させ、人間の状況を前例の無い形で向上させようという思想がベースにある。ある意味で、人間が人間であることを否定する数字やナンバー、コード化の中で生きよと言うことだ。科学の進歩を人間の生活環境の改善と全面的に歓迎するのは早計だ。
一例として考えてみよう。地震の後に電話回線が不通となる事故はよくある。電源コードや接続端子類の緩みや静電気のため込みなど、今は昔とは大違いの電子機器が使われているため、意外な不便に遭遇する事がある。そんなときに電話会社に連絡することになるが、普通、そんな時には、局番なしの「113」に電話するだろう。固定電話の場合は使えないので携帯電話からするしか無い(公衆電話は使えるが現実的では無い)。携帯電話・PHS・NTT以外の固定電話からは「0120-444-113」にて受けてはくれるが、自動音声の番号選択式でなかなか肉声で通話することなどは覚束ない。相手と直接話すことは出来ない不便さを実感するだろう。便利な電話も、ことが起きると簡単に不便なものとなりがちです。法人等の事業を営むものにとっては、死活問題となり得る。そんなとき、インターネット回線が繫がっていると一番やりやすい。
YouTubeで。https://www.youtube.com/watch?v=cACPfBZpaGM の動画を見れば、大概の場合は解決できる。機械の信頼性は高くても運用への信頼性(自己責任)が確保されていないと思わぬ穴に陥るケースもある。
通信販売の国際大手AMAZONの場合を考えてみよう。デジタル化は極限まで進化しており、商品売買は世界のものが簡単に手に入るし、消費者保護も徹底している。通信販売の場合、対面では購入していないので、購入者が思い描いていた商品と違っていたりした場合、1ヶ月以内なら自由に返品が効く。海外から買ったものでもである。だが、一つだけ返品で心得ておく必要がある。肉声で担当者につながるにはそれなりの時間が掛かるため忍耐力が必要だろう。端的に言って、AIチャットによる手続きが一番早いし,チャットの記録も残り確実だということだ(但しチャット記録はコピペでWord等に残しておかないとあとで記録は見ることができない)。AIによるチャット相手はアパター化されており、想像される以上に正確。チャットはロボットと話している感覚があり、お互い冷静になるという点で非常に優れている。ただし、企業は売ることが命で、マイナスのハンドリングは最小にしたく考えているからか、目につきにくいところにリンクが張られている。アマゾンに関して言えば目につきにくいヘルプから入って、問題が解決しない場合の選択から カスタマーサービス が利用可能だが。極めて見つけにくくなっている。その上、チャットに入ったら忍耐強く、かつ、解りやすく状況を正確に会話を続ける必要がある。
こういったことから思うのは、DXは確実に人間を分断、かつ、差別化を促進し、アナログ思考の良いところを埋め切れないデジタル思考に人間を強制し、考える力を失わせることだ。それ故に、市民社会で前向きに生きていくためには、DX対応へのリタラシーを高める努力を重ねることと、同時に、立ち上がり発言するアナログ的立ち位置の維持に努めることが何事においても大切と言えるだろう。