01.
環境によって
人は「悪」になる
【スタンフォード監獄実験】
あまりにも衝撃的で、映画化もされている実験。1971年にスタンフォード大学で行われた「監獄」実験では、精神的に健全な学生を囚人と看守のグループに分け、24時間その役割を演じさせた。
当初、2週間続く予定だった実験は、囚人たちに対する看守グループの暴力が、制御不能なほどエスカレートしたことで6日間で打ちきりに。 社会的な環境は人の心理に大きく影響を与える。
その行動が本当に正しいのかどうか、いつの間にか判断することができなくなり暴力的になることが証明された瞬間だった。
02.
「役割」によって
人は考えることをやめる
【ミルグラム実験】
エール大学の心理学者Stanley Milgramは「記憶力に関する調査」と題し、求人を募集した。集まってきた被験者を教師役に任命し、生徒が質問の回答を間違えたら電気ショックを与えるという「役割」を与えた。実験を始める前には、どの程度の電流が流されるか自ら体感してもらい、テスト開始。
生徒役は目の前には現れず、スイッチを押す必要が出た際に、電流の強さの指示だけが与えられた。その幅は75ボルトから330ボルト。どのくらいか想像がつかないかも知れないが、ちょっと痛いなと言うレベルから、死に至るまで、電流を流すたびに度合いに応じて録音された叫び声が流れたそう。
教師役の人々はもちろん次第にこの役割を拒むようになるのだがが、白衣姿の博士は冷静にテストを続けるように促す。
「続けて下さい」「実験には必要なのです」「責任はこちらで負います」「迷わずに続けてください」
最終的にどうなったのか・・・。なんと、およそ62.5パーセントの教師役が最大ボルト数として用意されていた450ボルトの電流のスイッチをONにした。
もちろん多くの被験者が、途中でテストの異常性を訴え、すぐに辞めるべきだと提案したが、博士の「責任はこちらでとる」との発言などのせいもあってか300ボルト以前でテストを中断するものは1人もいなかったそうだ。
03.
グループ同士は、争う
【サマーキャンプ実験】
1950年代に行われた社会心理学の実験が、集団がなぜ争うのか、またどうすれば和解できるかを明らかにしている。 11歳の男の子を11人集め、それぞれ名前をつけた2つのグループに分けた。別々のキャンプに1週間連れ出したのちに、再会させる。
すると、彼らはお互いを名前で呼ばずにグループ名で呼びあい、一緒に食事をすることを拒んだ。いくつかの遊びを提案したが、打ち解けることはなかったそうだ。
興味深いのは、2つのグループをまとめた方法だ。彼らに、1つのチームでは解決できない大きな課題を与えたところ、お互いに助け合って問題解決に取り組むようになり、次第に仲良くなっていったという。
04.
笑わない母親が与える
赤ちゃんへの影響
【無表情のふれあい実験】
Dr. Edward Tronickによる実験はシンプルながら、明らかな結果を示した。無表情のまま自分の子どもの前に立つ母親。最初はおどけていた赤ちゃんも次第にストレスを感じていき、最後には泣き出してしまう。 しかし、母親が笑顔になるとすぐに機嫌が良くなり、笑顔を取り戻す結果に。
人間にとって、何が大切なのかを考えさせられる実験だ。 もうひとつ衝撃的な実験がある。神聖ローマ帝国ホーエンシュタウフェン朝の皇帝フリードリヒ2世は、言葉を教えずに育った「赤ちゃん」がどんな言葉を話すのかに興味があった。
そして、55人の乳幼児を隔離し、一切のスキンシップを禁じ育てさせた。目を見ることも、語りかけることも、笑いかけることも許さなかった。
結果、55人中、27人が2年以内に死亡。他17人も成人前に死亡。残る11人は成人後生き続けたが、知的障害や情調障害が残ったという。
05.
思い込みで人は死ぬ
【ブアメードの水滴実験】
これは都市伝説でもある。幾つかの論文がネット上に残っているようだが、その共通項が今も語り継がれている。1883年オランダの医師団が、ブアメードという名の死刑囚に対して「医学の発展」を名目に実験を行った。人はどれだけ血液を流したら死に至るのかを計るものだった。
医師団は被験者に実験の内容を伝え、目隠しをしてベッドにしばりつけた。そして、指にメスを入れて血液を流し、1時間毎に出血量が告げる。ゆっくりと血液が流れ落ち、その総量が体重の3割を越えたと”告げられたとき”、対象は息絶えたという。
そして、驚くべきことに、実際には血液は一滴も流れていなかった。 医師団はメスを入れたと説明はしていたが、実際には痛みを与えただけだったのだ。指に水滴を落とし、血液が流れているかのように思い込ませた。
これはプラシーボ効果の反対を意味する「ノーシーボ効果」とも呼ばれ、たとえ身体的に悪影響を及ぼすものでない場合でも、悪いと思い込むことで症状が悪化することを言う。
06.
75年間の調査でわかった
【幸せのために必要なもの】
最後に、これは実験ではないが、幸福度に関する調査を紹介する。ハーバード大学は1938年から1940年に在籍した268名の男子学生を対象に75年間にわたる調査が行われた。
90歳になった被験者に、人生の長期にわたる幸福と満足感について何が最も必要かと尋ねた時、一番多かった答えは「愛」だったそうだ。 長年、この調査を取り仕切ったGeorge Valliant氏は、幸福には2つの柱がある語っている。
「1つは愛、もう1つは愛を失わずに人生を生き抜く方法に気づくこと」
人間心理を探った数々の実験・調査、あなたはどう思った?
Reference:huffington post , WIKIPEDIA , NCBI