消費刺激、再増税にも備え 税制大綱決定 2014/12/31 2:00 日本経済新聞
30日決まった税制改正大綱は足元の消費をてこ入れする一方、2017年4月の消費再増税にも備える両にらみの内容だ。住宅資金を非課税で贈与できる制度は今日までの期限を19年6月まで延長し、非課税枠を最大3000万円に増やす。子育てや教育資金の贈与制度も19年3月まで使えるようにし、住宅を含む個人消費が増税で振れすぎないよう目配りしている。
暮らしにからむ税制改正の特徴は、住宅資金の非課税枠の扱いに表れている。現在最大1000万円の非課税枠を15年から1500万円に引き上げる。住宅着工戸数は4月の消費増税から約半年たった11月も前年同月と比べ2桁の落ち込みとなっている。非課税枠の拡大で足元の住宅市場を刺激する狙いだ。
16年以降は変則的で注意が必要だ。16年1月から9月は非課税枠を1200万円に引き下げる。住宅は増税の半年前に契約すれば引き渡しが17年4月以降でも増税前の税率が適用される。このため、駆け込みはおおむね増税の半年前まで。17年4月の消費再増税前の駆け込み需要を抑えるために非課税枠を一時的に縮小する形だ。
一方、反動減が始まる16年10月には非課税枠を3000万円へと一気に引き上げる。非課税枠は消費増税後の17年10月から徐々に縮小していくが19年6月末まで使えるようにする。
住宅購入時に利用できる住宅ローン減税や中低所得者向けのすまい給付金も19年6月まで延長すると決めた。
ローン減税は年末のローン残高の1%、最大50万円を所得税額から差し引ける。今年4月に新設したすまい給付金は消費税率が8%の間は年収510万円以下が対象だが、10%になってからは年収775万円以下に対象を広げる。年収の低い人ほど多くもらえるようになっている。
住宅以外にも高齢者から若年世代への資産移転を促す贈与税の非課税制度を大きく広げている。
15年度に新設する子育て資金の非課税制度は、20歳以上の子や孫1人あたり最大1000万円を非課税で贈与できる。教育資金の非課税制度は資金の使い道を留学の渡航費用などに拡充する。
子育て資金、教育資金のいずれも非課税贈与制度の期限は19年3月末までとした。消費再増税をにらんで暮らし関連の優遇税制を長く使えるように配慮する与党の方針がにじんでいる。
今年始まった少額投資非課税制度(NISA)は16年に子ども版を創設。親が子のために代理で年80万円を非課税で運用できるようにする。ただ、こうした制度は祖父母や親が豊富な金融資産を持たないと使えない面もある。
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