一人あたりGDPに見る生産性凋落

世界の一人あたりGDP は捉えた時点での変動が大きく様々な分析が出ています。そこで、充分な経年期間を丁寧に分析してみると、ある明確な傾向が見えてきます。

1989年平成1年には日本はアメリカを抜いて先進国で1番でした。その後に曲折はありますが1995年(地下鉄サリン事件、円高で1ドル70円台などとなった年です)にピークの43,118ドルをつけて以降、足踏み状態が続いています。

現在はG20国の中でも最下位に等しく、G7の中でかろうじてイタリアの上にあります。左図を拡大してよくご覧下さい。現状は1995年平成7年の43,118ドルに届いていない。太赤が日本、太青がアメリカです。よく見ていただくと解りますが、日本は先進国の中で貧しい方向に確実に向かっています。グラフは国連統計(National Accounts – Analysis of Main Aggregates (AMA)) をもとに作成したもの。

GDPは、技術革新と労働人口に影響されます。2012年までは円高に支えられて2番ピークの48,302ドルをつけますが、それ以降、政権が代わっても、足踏み状態が続いています。対するアメリカには大きく水を開けられています。アベノミクスは失敗と一概に決めつけることは出来ませんが、ゼロないしマイナス金利政策下では諸手を挙げて成長の果実が得られているということにはなりません。東京オリンピックまでは、だましの成長を喧伝するでしょうが、その反動は消費税のUP も重なり大きなものとなるでしょう。その危険を回避するためには、政策変更の軌道修正が必要となるでしょう。

いま政治で大切なことは、生活の基盤から持続的な国民経済はどうあるべきかを党派を超えて議論することではないでしょうか。あらゆる面で社会制度は’金属疲労’しています。地域社会に生きる市民は、地域の問題に関心と監視を強め、頓挫した2大政党制を埋めるための努力が必要です。1強多弱は栄枯衰勢のたとえのようにすぐに壊れます。アンチテーゼとしてMMT新経済政策を唱える人もおりますが、ただでさえ問題の借金経済を雪だるま化させるだけです。超高齢化時代の経済は入りを計って出ずるを図ることが原則で、老人層も頭を鍛え技術革新を目指すことではないでしょうか。

そのための一つのキーワードは、憲法における地方自治の拡充、加えて2元代表制の見直しに伴いシニアパワーの活躍・活動を促進することでしょう。これらの動きは、地域政党化が進み、新しい2大政党の1翼へと発展しうる可能性を秘めています。国民の半数が不満とあきらめを抱えた現状打破には、国民主権を実感できる地方経済・地方組織の活性化がまず必要ということになるのではないでしょうか。

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