「夢工房」 法人の私物化

【衝撃事件の核心】アダルトDVDに高級車レクサス、婦人服まで…不正流用1・4億円、社福理事長一族の乱脈経営
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【衝撃事件の核心】アダルトDVDに高級車レクサス、婦人服まで…不正流用1・4億円、社福理事長一族の乱脈経営: 社会福祉法人「夢工房」の第三者委員会が認定した理事長一族による運営費の主な不正流用© 産経新聞 提供 社会福祉法人「夢工房」の第三者委員会が認定した理事長一族による運営費の主な不正流用  大阪や兵庫、東京など全国7都道府県で保育園を運営する社会福祉法人「夢工房」(兵庫県芦屋市)で、理事長一族による運営費の不正流用問題が発覚した。10月19日に公表された法人の第三者委員会の調査報告書によると、法人の資金から流用されたのは約1億4千万円。親族の架空勤務による給与支給に始まり、高級車レクサスの私的使用▽子供の学費▽新居用家具・家電や妻の婦人服、理事長が購入したアダルト商品代2万円-など。あまりの乱脈ぶりに、第三者委は「法人は私物化され、利用者は二の次」と指弾した。(藤原由梨)

「法人の私物化」

「今回の問題を総括すると、理事長一族による法人の私物化が主な原因」

「詐欺罪などで告訴されうる事案で、理事長らは解任されるべきだ」

10月19日、神戸市内で開かれた第三者委員会の記者会見。法人の理事らが同席する中、委員長の藤原孝洋弁護士はこう指弾した。

報告書によると、理事長の母と義母、当時大学院や専門学校に在学中だった長女と長男には、法人が運営する保育園などでの勤務実体のない「架空勤務」で給与が支給されていた。

さらに長女と長男の学費も専門資格の取得に対する補助として支出。藤原氏は「ほかの職員がこの制度を利用したことはなく、夢工房の費用で身内を進学させようとしたに過ぎない」と指摘した。長女が同じマンションの別フロアに住所変更した際には赴任手当まで支給され、給与・手当をめぐる不正な支出だけで流用額は約6300万円に上った。

理事長一族の流用はこれだけにとどまらなかった。

理事長妻の婦人服に

「平成26年8月27日 ○○保育園 2万2680円 アナと雪の女王衣装」「26年11月4日 ××保育園 2万7300円 ハロウィン帽子・衣装」

これは理事長の妻が、兵庫県内の高級婦人服専門店で商品を購入、偽造した領収書の記載の一部だ。26年8月以降だけで計11回、支出は総額約123万円に達した。

妻は第三者委に対し、領収書に実際には購入していない商品名を記入したことは認めたが、「婦人服の生地を利用してハロウィングッズなどを作成するつもりだった」と弁明。しかし第三者委は「園の行事で使う備品を装い、実際は自身の婦人服を購入していた」と判断した。

また、法人が所有する約700万円の高級車「レクサス」は長女が独占的に使用。長女が結婚した際には、家電や家具約210万円分が買い与えられた。領収書には園で使う掃除機やプランターを購入したように記載されていたが、実際はソファ、テレビ、テレビ台、冷蔵庫などが園の経費で処理されていた。

このほか、理事会の決議を経ずに法人名義で銀行から借り入れた約6300万円も見つかった。

社会福祉専門書と偽り…

第三者委の説明に、報道陣から失笑が漏れたのが次の報告だった。

理事長によるアダルトDVDの購入費2万円-。

22年5〜6月、理事長が複数回、購入したアダルトDVDを社会福祉関係の専門書と偽装して法人本部宛に送付させ、うち2回分2万円を法人経費で支払わせていた。2回の金額は「9441円」と「1万559円」。合わせてちょうど2万円だった。

会見後、報道陣の質問に対し、藤原氏は職員からの聞き取りで「理事長宛に届いた荷物を開けたところ、アダルトDVDが入っていた。すぐに閉じたため、DVDの細かい内容までは覚えていない」と証言したという。第三者委で商品と領収書を付き合わせると、DVDの代金が報告書で説明があった専門書購入に偽装されていたことが分かったと説明した。

また、勤務していない職員を雇用したように見せかけるなどし、姫路市と東京都港区から補助金計約4560万円を不正に受け取った疑いも判明。藤原氏は「自治体に返還すべき補助金と認識している」と語った。

誰も逆らえない存在

理事長一族による法人の運営費不正流用疑惑が浮上したのは、今年6月上旬。きっかけは姫路市の監査だった。

法人が運営する「姫路保育園」など2つの保育園で22年4月以降、架空勤務の理事長の母や義母に給与約2200万円を支払うなど、計約2750万円を親族らに供与していたことが明らかになったのだ。

事態を重く見た兵庫県からの指示もあり、法人は6月24日、弁護士の藤原氏をはじめ、公認会計士と大学教授の3人で構成する第三者委を設置、関係者からの聞き取りなどを行った。

そもそも法人は昭和22年、現理事長の祖父が姫路市で保育園を立ち上げたのが事業の始まり。理事長職は一族が引き継ぎ、平成25年に就任した現理事長は祖父、叔父、父に続いて4代目となる。現在26の保育園や特別養護老人ホームを運営するようになった法人の拡大に手腕を発揮したのは現理事長だ。15年に専務理事に就任した後、新たな保育園を全国各地に毎年開園、いずれも収益を出すカリスマ的存在となった。

第三者委は「唯一の成功者として絶対的な発言力があり、逆らうと職さえ失いかねないという恐怖が存在した」と、不正がはびこる法人の体質を指摘した。

関係者によると、理事長本人は「事実関係として、認められないところがたくさんある」と話していると伝えられるが、法人は9月から理事長を出勤停止とした。

「行政に甘さ」

法人の関係者によると、問題発覚以降、運営する各地の保育園には保護者から「説明会を開いて本当のことを教えて」「閉園したり、先生が大量に辞職し、規模を縮小せざるを得なくなったりすることはないのか」などと不安の声が複数寄せられている。

報告書では、経営から理事長ら創業者一族の関与を排除するよう求め、「働く女性や住民を裏切った。待機児童ゼロ作戦で悩む自治体と保護者を手玉にとり、理事長らが今回のような事件を起こしたことは許されない」と結ばれている。

企業などの不正に詳しい近畿大の芳沢輝泰准教授(企業統治論)は「これほどひどい不正流用は聞いたことがない」とした上で、社会福祉法人を監督する行政側の甘さを指摘する。

「待機児童が全国で問題となる中、保育園の充実を図る行政はできるだけ園を維持したい弱い立場。法人に対する監査も甘くなる傾向がある」と説明。「今回はあまりにも問題が深刻だったため放置できなかったのでは」とみている。

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