(注:2009年4月、米国とメキシコ周辺で豚が感染するインフルエンザウイルスの際、日本政府が取った措置については、新型インフルエンザ等対策 – 内閣官房をご覧下さい。09年の新型インフルの際は、指定から約3カ月後に全数報告をとりやめ、季節性インフルエンザなど5類相当にしたのは省令(施行規則)の改正だ。法律上は「新型インフルエンザ等感染症」のままだった。現状のシステムを鑑みるにPCR検査法の偽陽性を避けるためには、検査を止めるかサイクル閾値(CT値)の見直しを行わない限り、不毛な’感染症の専門家ら’の提言にいつまでも振り回されるだろう。マンボウを来月6日迄延長するようだ。欧米がワクチン強制から撤退をして行く中、最後まで鎖国を続けることまで含め、非科学的政策に固執するようだ。)

以下日本経済新聞から


保健所内の感染者数を示す棒グラフは「第5波」の渦中にあった昨夏(左)を上回り、天井まで延びていた(1月26日、東京都品川区)

新型コロナウイルスへの対応の見直しを求める声が高まっている。2009年の新型インフルエンザの際はリスクが低いことが判明した後、感染者の報告方法を見直し、保健所などの負担を軽減した。当時、感染症法上の分類は現在の新型コロナと同じ扱いだったが、法改正ではなく、運用の変更で対応した。ウイルスの特性に合わせた柔軟な対策が不可欠だ。

「集団的に発生しているものでなければ、感染症法に基づく医師の届け出は不要となる」。厚生労働省は09年7月22日、世界的大流行(パンデミック)となっていた新型インフルエンザの感染者を診断しても、学校など施設での集団感染の疑いがなければ、医師は保健所に患者の情報を報告する必要がないと通知した。

それまでは、厚労省は4月下旬に感染症法に基づいて「新型インフルエンザ等感染症」の発生を公表し、医師に診断した感染者の情報を保健所に提出する「全数報告」を求めていた。

5月に国内で初確認後、7月上旬には全国で2千人を突破、2週間後には5千人を超えた。感染者数は急増する状況で厚労省が全数報告の方針を転換したのは、ウイルスが強毒性でない可能性が高まったことが大きい。当時も検査体制が不十分な上、全数報告の対応で保健所の業務が逼迫したこともあった。

感染症法では、生命を脅かす度合いに応じ、ペストやエボラ出血熱など致死率が高い「1類」から、季節性のインフルエンザなど「5類」までに感染症を分類している。

新たに発生した新型コロナは09年の新型インフルと同様の「新型インフルエンザ等感染症」に指定されている。重症急性呼吸器症候群(SARS)などの「2類」相当とされる。しかし無症状の感染者にも入院を勧告できるなど1類と同じ強い法的措置を取れる。1類でも認められていない「外出自粛などの要請」も可能だ。変異ウイルスなどによる不測の状況もありうることから最大限の権限を行使できるようになっている。

一方、ウイルスの特性に合わせて柔軟な対応もできる。09年の新型インフルの際は、指定から約3カ月後に全数報告をとりやめ、季節性インフルエンザなど5類相当にしたのは省令(施行規則)の改正だ。法律上は「新型インフルエンザ等感染症」のままだった。

厚労省で新型インフル対策に取り組んだ沖縄県立中部病院の高山義浩医師は「全数報告に加え、保健所が濃厚接触者を探すこともやめた」と説明する。しかし「その後も医療費の公費負担や、まん延を防止する対応など『新型インフルエンザ等感染症』としてやるべきことがたくさんあった」と振り返る。

法改正で新型インフルを正式に「5類」にしたのは、同感染症の指定から2年後の11年4月だった。世界保健機関(WHO)が10年8月に「今回の新型インフルは大流行後の状態に移行してきている」と宣言したことを受けて法改正した。

東京大学の仲田泰祐・准教授らは新型コロナについて、東京都の感染状況から致死率などを試算している。新たな変異型「オミクロン型」が主流の第6波では4日時点で致死率は0.02%で、デルタ型が主流だった第5波の20分の1で、季節性インフル(0.02~0.03%)とほぼ同じだ。仲田准教授らは最終的に0.07%程度に収束すると予測している。

ただオミクロン型はデルタ型の2倍近い感染力があり、感染拡大で医師や看護師不足による医療逼迫が起き始めている。このため事実上「5類相当」として運用を始めた自治体もある。

神奈川県では抗原検査キットで自ら検査して陽性だった場合、重症化リスクの低い若年層は医療機関を受診せずに自宅療養してもらう「自主療養届出システム」を1月28日から導入した。黒岩祐治知事は「(季節性の)インフルエンザでは受診せずに自宅療養する人がいる。守るべき命を守る最善の方法」と理解を求める。4日間で1500人以上が応じた。感染症法に基づく報告の対象外で、「全数報告」を運用で断念した形だ。

感染症の専門家らは2日、「感染者は必ずしも徹底した公衆衛生対応を必要としないことが多い」と指摘し、検査や健康観察の省力化など感染症法の柔軟な運用を求める提言を公表した。法改正などには「今後のウイルス変異の予測は困難」として、慎重な対応を求めた。

厚労省は省令改正で「5類相当」にする対応について「制度的には可能だが、09年の新型インフルと異なる感染症のため慎重な検討が必要」と及び腰だ。守るべき命を守るために、これまでの経験を踏まえた柔軟な対応が求められている。

(社会保障エディター 前村聡)

2日に公表した感染症の専門家らの提言では、オミクロン型の緊急避難的な対応として感染症法上の柔軟な措置を検討できる条件を挙げた。「一日あたりの陽性者が人口10万人単位で50人以上の状態が1週間以上連続した場合」で、東京都などはすでに上回っている。

提言には政府分科会の尾身茂会長のほか、厚労省が設置している専門家組織の脇田隆字座長(国立感染症研究所長)などが名を連ねている。

柔軟な措置は6~49歳で軽症や無症状の感染者で重症化リスクがない場合などには自宅療養を勧奨することを提示。民間検査による陽性確認を認める。感染症法に基づく報告は求めるが、入力項目は減らす。

健康観察は省力化するが、自治体には症状が悪化した場合の連絡先の確保などを求めている。

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