集団予防接種:どれだけの意味と危険性があるかで紹介したことに関係するキラーT細胞の可能性について、動画で詳しく解説している。本来の感染症対策を考える上での基本として一般人にも解りやすい。生物学的に同定が難しく生ワクチン化に膨大なコストと時間を要することもあるだろうが、遺伝子情報に基づく仮想対応ワクチンとも言うべき実験段階のものを、市場ニーズの創造とともに走らせる商業主義に囚われた社会にとって、本質的なものとして治療薬を思考する日本的な発送として意味があるのではないか。

人が誰でも持っている免疫細胞『キラーT細胞』を人工的に作り、新型コロナウイルスの治療薬を開発するという研究が注目されています。

キラーT細胞は、ウイルスに感染した細胞を破壊する力を持っています。また『記憶力』があるので、いったんウイルスの情報を知ると、次に同じウイルス来た時に、すぐに破壊することができます。

京都大学ウイルス・再生医科学研究所などで進められている研究では、回復した新型コロナ感染者から採血して、新型コロナを記憶したキラーT細胞を取り出し、どんな細胞や組織にもなることができるiPS細胞を材料に培養し、治療薬にすることを目指しています。このiPS細胞を使う技術が世界で唯一だという。

京都大学ウイルス・再生医科学研究所の河本宏教授に話を聞きます。 

Q.抗体との違いは何ですか?) 抗体は、ウイルスに直接くっついて、ウイルスが細胞に入るのをブロックする力を持っています。ただ、それをすり抜けて、ウイルスが細胞内に入ってしまうと、抗体は効果がありません。そこでキラーT細胞の出番になります。キラーT細胞は、ウイルスに感染した細胞を、細胞ごと殺します。どんどん殺していくので、体からウイルスがいなくなって、病気を治す力を持っています。 

Q.キラーT細胞を培養するためには、iPS細胞を経由しないといけないのですか?) 病気から治った患者の血液の中には、その病気を治したキラーT細胞がいます。ただ、このままだと、免疫系が拒絶するので、他の人に直接入れることができません。そのため、iPS細胞を使います。京都大学のiPS細胞研究財団が作っている、他人に拒絶されにくいiPS細胞を材料にします。私たちの場合、キラーT細胞がウイルスを見つける時に使う分子を取ってきて、iPS細胞に入れます。そのiPS細胞からキラーT細胞を大量に作ります。この分子を入れるところと、iPS細胞から大量にキラーT細胞を作るというところが、私たち独自の技術を持っています。

Q.治療薬は、どんなタイミングで投与する想定ですか?) 重症化リスクの高い患者が、肺炎を起こす前に使って、重症化を防ぐことを想定しています。

Q.変異型にも効果はありますか?) 変異は、ウイルスのスパイクたんぱく質に起こります。抗体はスパイクに対してできるので、ウイルスが変異を起こすと効かなくなることがあります。一方、キラーT細胞は、ウイルス全体を標的にするので、ウイルスが少し変異を起こしても、効果を持ち続けることが期待できます。

Q.キラーT細胞はどれぐらいの期間、ウイルスを記憶しますか?) 免疫は、いったんつけば、何十年も持つようなこともあります。ただ、今回のコロナに関しては、誰も分かりません。できるだけ長く続くことを期待しながら、研究を続けていこうというところです。

Q.実用化のめどは立っていますか?) 私たちは分子も持っていますし、元になるiPS細胞もあるので、1年ぐらいあれば作れそうです。ただ、ちゃんとした施設で作って、安全性を見極めるのに時間がかかるので、早くても3年後になると思います。そのころには、新型コロナは終わっているかもしれませんが、いったんこの体制ができたら、他のウイルス感染症のキラーT細胞を作ることができます。未知のウイルスが来てパンデミックが起きた時にも、半年以内くらいに細胞を作って治療に使うなど、つないでいくことができると期待しています。 [テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp

世界初 キラーT細胞でコロナ治療 キーマンに聞く(2021年6月8日)

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