ベトナム政府は、先月26日に南シナ海・西沙(パラセル)諸島近海でベトナム漁船が中国漁船に衝突され、沈没した様子を撮影した動画を公表した。中国は「ベトナム漁船から衝突」と主張しているが、動画では大きな中国漁船がベトナム漁船を追い、体当たりする様子が映っている。

事故が起きたのは、中国が石油掘削をしている場所から南南西約31キロの海上。動画は近くにいたベトナム漁業監視船の船員が撮影していた。沈没した漁船に乗っていた漁民10人は、泳いで別のベトナム漁船に救出されたという。

顔などに切り傷を負った漁師のビエンさん(28)は事故直後の朝日新聞の取材に「衝撃であっという間に船は沈んだ。救命具をつける余裕もなく海に投げ出された。必死に泳いで逃げた」と証言。船主のホアさん(38)は「中国船は我々の6倍の大きさで鋼鉄製だ。木造漁船の我々がぶつかっていくはずがない」と憤っていた。損害額は2500万円に上るという。

船長のニャンさん(42)は「危険だが、先祖代々守ってきた仕事だから、これからも西沙諸島での漁を続ける」と話した。(ダナン=佐々木学)