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公立と私立の中学校、教育費はこれだけ違う

3年間で3倍近くの差!公立と私立の中学校、教育費はこれだけ違う

 

中学生になると、公立に進んでも学校にかかる費用や塾代などが増えるため、小学校時代より教育費の負担は重くなるのが一般的。私立中学に進学すると、家計からの負担はさらに重くなります。実際にどれくらいかかるのか、まずは総額から見てみましょう。

3年間の合計では公立が約144万円、私立は約402万円

文部科学省「子供の学習費調査」(平成26年度)によると、中学校でかかる学校教育費と学校外教育費などを合わせた学習費の総額は、年間の平均では公立で約48万円、私立で約134万円。私立は公立の約2.8倍という結果です(図1・表1)。

これを学年別に見てみると、公立中学では3年生のときにかかる費用が約57万6000円と最も重く、次が入学した年の1年生で約46万2000円。3年生になると塾代などの費用がかさみ、1年のときは入学時に必要な制服などの準備品が増えるためと思われます。
一方、私立の場合は入学年度の1年生のときが約162万円で最も高く、次が3年生のときの約124万円。公立・私立ともに2年生のときの負担がやや軽くなるという状況です。

学年別にかかる費用を合計すると、公立は3年間で約144万円、私立は3年間で約402万円となり、子ども1人が私立中学に進むと、家計にとってはかなりの負担になることがわかります。そこで、公立・私立別にかかる費用の詳細を上の調査から紹介します。

公立の場合、学校にかかる費用より、学校外にかかる費用のほうが大きい

公立中学で、学校教育費としてかかる費用の平均は年に約12万9000円。月にすると1万円強なので、学校関係だけなら家計からの負担が重いというほどではありません。学校教育費の内訳で、金額の占める割合が大きいものから紹介すると次のようになっています。

○通学関係費 3万3094円・・・25.7%
○教科外活動費 3万2468円・・・25.2%
○図書・学用品・実習材料費等 2万4645円・・・19.1%
○修学旅行・遠足・見学費 2万2918円・・・17.8%
○学校納付金等 1万2055円・・・9.3%

公立の場合、学校納付金は少ないものの、電車・バスなどの交通費や、自転車通学の場合の自転車購入費といった通学関係でかかる費用が意外に大きな割合を占め、次に大きいのが教科外活動費、いわゆる部活動などの費用です。公立でも、小学校の学校教育費は年に平均6万円弱のため、中学に進むとその倍はかかることになります。

しかし、こうした学校教育費よりも負担が大きいのは、学校外にかかる教育費です。その平均額を下の図で学年別に見てください。

公立中学では、1年生のときから塾代などの補助学習費が年に15万6000円、その他の学校外活動費が8万円で、年に23万6000円の費用がかかっています。これが2年生になると27万1000円と増え、3年生では43万5000円と一気に高くなります。
3年生になると高校受験を控えて塾代などの負担が増え、家庭での教育費が重くなることがわかります。

私立は授業料を含め、学校関係の費用だけで年に約100万円

学校教育費だけを見ると、私立は公立の約8倍で、年間約102万円。そのうち、最も大きな割合を占めるのは授業料です。私立の学校教育費の内訳も見てみましょう。

○授業料 43万5917円・・・42.6%
○学校納付金等 28万614円・・・27.4%
○通学関係費 13万8669円・・・13.6%
○修学旅行・遠足・見学費 6万3707円・・・6.2%
○教科外活動費 5万5170円・・・5.4%(以下省略)

これは全国平均の金額ですが、東京都内の私立中学の学費の平均は、授業料が46万台とやや高くなっています。さらに、授業料の高い学校は最高131万円(1校)で、80万円台という学校もけっこうあり、低い学校は20万~30万円台のため、ざっと4~5倍もの開きがあります(平成28年度『都内私立中学の学費の状況』より)。
また、入学金や施設設備費も学校によって大きく異なります。

注意したいのは、私立中学では入学時に寄付金や学校債を募集する学校が多いことです。都内私立中学では半分近くが、1口数万円、もしくは5万円、10万円で2口以上といったかたちでの寄付金を募集しています。任意とはいうものの、入学者の大半は納めているようで、その平均額は約14万6000円。学校債は7校ですが、寄付金と学校債の両方を募集する学校もあります。そのため、学校に納めるお金だけで、1年目は初年度納付金に寄付金などを合わせて130万~150万円というケースも少なくありません。
私立の場合、授業料などのほかにも、このように学校によってかかる費用の違いに注意が必要でしょう。

私立の補助学習費は公立より少ないが、そのほかの費用がいろいろかかる

私立中学は学校にかかる費用が高いものの、中高一貫や大学付属の学校も多いため、そうした学校に進めば、塾代などがかからず、トータルでは公立とあまり変わらないと思っている保護者も多いようです。しかし、私立でもレベルの高い学校では、授業についていくのが厳しいために塾などに通うケースもありますし、大学は国立志望が当たり前という中高一貫の中学では、やはり中学時代から進学塾に通っている生徒もいます。
私立の学校外にかかる教育費は、下のように年30万~34万円くらいとなっています。

このほか、私立の場合は学校指定の制服や靴、バッグ、体操着なども高めで、前述のように定期代などの通学関係費は月に1万円以上。修学旅行などの行事や部活動にかかる費用も公立の2倍から3倍かかっています。私立はかなり遠くから通学する生徒も多く、休日に子ども同士で集まる際の交通費や、レジャー・スポーツを楽しむためのつき合い費や小遣いも、けっこうかかるという話はよく聞きます。

また、私立はお金持ちの子どもが多いので、「子ども同士のつき合いだけでなく、保護者同士のつき合いにもお金がかかる」という人もいますが、それは学校の校風によっても異なり、大学付属のブランド校などを除けば、すべてに当てはまるわけではありません。

ただし、中学から私立に進む場合、高校、大学も私立になるケースが多いということは忘れてはいけません。高校までなら6年間、大学まで私立に進むと最低10年間は、子ども1人につき毎年100万円以上の教育費がかかってくるということです。子どもが2人、3人となれば、その2倍、3倍に……。
それだけの費用を毎年、家計から賄えるかどうか、そうしたことも含めて、中学の進学先を検討することが重要でしょう。

文:マネージャーナリスト 光田洋子