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福島銀、死後も預金払い戻し 生前指定で

利用手数料は年間5000円とは、銀行さんも細かいですね。

2016/9/8 11:00情報元日本経済新聞 電子版

福島銀行は預金者の死後でも特定の相続人が預金を引き出せるサービスを12日から始める。通常、預金者が死亡すると口座が凍結され預金は引き出せなくなるが、福島銀は入院費や葬儀費など死亡直後の当面の支払いに充てるため、預金者が生前に指定した引受人に対し一定額まで引き出しに応じる。同行によると、こうしたサービスは全国の銀行でも初めて。

福島銀の新サービス「これで安心」は給与か年金の振込口座を持つ60歳以上の預金者が、同行に預金口座を持つ20歳以上の子か配偶者を引受人に指定。預金者が引受人に引き出しの手続きを委ねる「死後事務委任」の形で預金者と引受人、福島銀の3者が契約を結ぶ。

福島銀は預金者の死後、遺産分割前でも引受人からの要請に応じて500万円を上限に預金者の死亡時の預金残高の2分の1まで預金を払い戻す。用途は葬儀関連費や治療・入院費、借入金の清算などに限定。利用手数料は年間5000円。

預金者が死亡すると預金は遺産となるため、金融機関は通常、預金者の死亡が分かった時点で口座を凍結。遺産分割協議書の提出や相続人全員の同意がなければ、預金の払い戻しには応じないケースが多い。


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銀行に告げてはいけないこと

こわいですね。

父急死で預金が下ろせない!「口座凍結」の恐怖

 父親が入院先で亡くなったのは昨日のことだ。臨終の枕元で泣き崩れる母親の背中をさすりつつ、鈴木ケンスケさんは「自分がしっかりしなければ」と必死に自らに言い聞かせた。さしあたって葬儀代はどうしよう。母親の生活費など、当座かかる費用もある。「母さん、とりあえず、親父の通帳と印鑑を持って銀行に行ってきて。現金を引き出しておかなきゃ」

ところが、しばらくすると母親から携帯に連絡が入った。何やら慌てふためいている様子だ。

「ちょっと大変!お父さんのお金が引き出せないのよ。銀行の人がいうには、口座はしばらく凍結されるんですんって。ほかの口座もみんな使えないわ。いったいどうしたらいいの」

親父の口座が凍結!? 家族の大切な財布なのに!?――ケンスケさんは頭が真っ白になってしまった。

名義人の死を伝えてはいけない?

新聞死亡欄や人づてなどで名義人の死亡を知ると、銀行はただちに口座の凍結をおこなう。ケンスケさんのお母さんのように、家族が銀行窓口に行き、「名義人が亡くなったので、代りに私が預金を引き出したいのですが」などと言ってしまった場合も同じだ。

凍結が行われ、預金が動かせなくなると、あれこれやっかいな問題が生じることになる。生活費を引き出せないだけでなく、公共料金、家賃や駐車場代、ローンなどすべての引き落としがストップしてしまうのだ。そのまま滞納が続けば、電気やガスなどのインフラすら使えなくなる、という悲惨な事態に陥りかねない。

多額の出費を迫られることもある。斉藤ノリコさん(仮名・48歳)が慌てたのは、名義人が亡くなれば口座が凍結されることを、前もって知っていたからだった。

父親は1年前にガンを発症し入院していたが、ここのところ容態が急速に悪化している。医師から危篤を告げられたとき、混乱する頭の隅で考えたのは「医療費はどうしよう」ということだった。

なにしろ通帳や印鑑のありかもわからない。たとえ発見したとしても、口座が凍結されてしまえばお金を引き出せなくなってしまう。入院の連帯保証欄にはノリコさんの名を記入していたため、本人が支払えなければ、ノリコさん宛の請求書が届くことになる。

病院の会計係に問い合わせると、個室に入院していたこともあって、先月分だけで87万円かかっていた。今月分と合わせるといくらになるのか――。へそくりだけでは、とうてい支払い切れそうにない。

凍結解除に7年かかったケースも

家族が困ることをわかっていながら、銀行はなぜ口座を凍結してしまうのだろうか?

「預貯金は相続資産の一部。たとえ必要に迫られた場合であっても、本人以外の人が引き出すとトラブルのもとになります。ですから名義人が亡くなったことがわかると、銀行は即座に口座を凍結し、相続手続きが完了するまでは、一切引き出すことができないようにするのです」

こう説明するのは、相続問題に詳しいファイナンシャルスタンダード代表取締役社長の福田猛氏だ。

問題は相続手続きが意外と手間取ることだ。

「遺産分割協議書を作成するには、相続人全員の実印が必要。中にはどうしても連絡が取れない人もいるかもしれません。仕事が多忙だったりして手続きが進まない場合もあるでしょう。また、遺言書を書いていないケースでは、どう分けるかで揉め、なかなか手続き完了に至らないこともあります」(福田氏、以下同)。

その間、亡くなった親のお金は使えず、周囲が立て替えたお金を清算することもできないわけだ。なんと解決までに7年かかったケースもあるという。

「親の代わりに資産運用」はNG?

親に万が一のことがあれば、証券口座もまた凍結される。この場合の「万が一」というのは必ずしも死亡だけをさすのではない。たとえ身体は健康でも、認知症などで判断能力を失った場合も同様の措置がとられる。

「お父さんが株を持っている会社、トップが不祥事を起こしたらしい。まずいぞ、早く売却しなくては」

そんなときも口座が凍結されている限り、一切売買できない。「父の代わりに私が運用しますから」などと主張したところでムダである。

「本人以外の人間が売買することは仮名取引、借名取引といって禁止されています。わかれば即、取引停止となることもあります」(福田氏)

もっとも、「成年後見制度」を活用すれば話は別だ。認知症となった高齢者などのかわりに成年後見人を立て、資産の管理を行える制度だ。ケースバイケースだが、家族が成年後見人になることもある。ただし、この場合も株の売却ができなくなるなど、制限がかかったりする。

口座が凍結する前にすべきこと(1)

では、親の口座が凍結される前に打てる手はあるのだろうか?福田氏は2つの方法を提案する。1つは親に生命保険に入ってもらうことだ。

「保険金は受取人固有の財産で、預金のように凍結されることはありません。また保険金は、請求後、だいたい3日から1週間で振り込まれますから、葬儀費用のほか当座の支払いに充てるにはよいでしょう」

なお、法定相続人以外に受取人を指定することも可能だ。

預金から毎月、保険料を支払えば相続すべき財産が減る。さらに、生命保険の受取金には相続税の非課税枠が設けられているため、受け取った金額が非課税の範囲なら、相続財産には加算されない。

非課税枠は、相続人ひとりにつき500万円だ。たとえば妻、長男が相続人なら、500万円×2人で1000万円、妻、長男、長女なら500万円×3人で1500万円まで、非課税で保険を受け取ることができる。相続人以外に受取人を指定することも可能だ。

口座が凍結されるまえにすべきこと(2)

もうひとつの方法は、あらかじめ親に“借金”しておくことである。

「たとえば親の預金から、前もって500万円を預かります。そして、介護費用や医療費、葬儀費用、親の生活費などにそのお金を充てます。このとき、必ず領収書を取っておき、相続の際、残りのお金とともに清算しましょう」

なお、まだあまり一般的ではないが、「家族信託」も遺言書に代わる方法として目下、注目されている。親の預貯金や株、債券、不動産などの資産を運用、管理する「受託者」を家族で決めることができ、スムーズに財産の承継を行えるようにする、というものだ。受託者と受益者(財産の運用、管理により利益を得る人)は同一人物でもよいため、家族の誰かが委託者になることもある。

相続が順調に行われれば、口座凍結問題も早めに解決できる。認知症の親を証券口座も適切に管理できそうだ。

「まだ数はあまり多くありませんが、最近は信託銀行が受託者となる家族信託商品も登場しています。今後増えれば、選択肢の幅も広がるのではないでしょうか」

もちろん、銀行が親の死を知らず、口座凍結を免れられることも多い。だが、亡くなる前後に口座からお金が引き出されていれば、

「お父さん、このときは意識を失っていたはずよ。お兄ちゃんが勝手に引き出して自分のお小遣いに使ったんじゃ?」

など、あらぬ疑いをかけられる可能性もないとはいえない。後々のトラブルを防ぐためにも、親が元気なうちに対策を立てておきたい。


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